「生きるのがつらい」と嘆かれている方がいます。けれど、その思いは決して他人ごとではありません。実は私自身も、心の片隅に時折同じ感情が芽生えていることに気づくようになりました。
どうしたら、その苦しみに少しでも寄り添えるのか。毎回そういう方がいるという話を聞くと、自分の力のなさに向き合わされています。何もできないまま、ただ傍にいるだけ。けれど、それが「何もできていない」ことになるのかどうか、本当はまだ分かりません。
その方は、過去の出来事と正面から向き合い続けています。「苦しい」と繰り返しながらも、生きるという選択を今日も重ねているのです。一方で私は、自分の過去を振り返ることに恐れを抱き、それを避けようとしています。「過去は戻らないから」と言葉にしながら、本当にそれでいいのかと心の中で問いかけています。
「自分を責めないでください」
そうお伝えしてはいますが、それがどれほど相手の心に届いているのか。自分にできることは何か――その答えは、まだ見つかりません。けれど、強く願っています。
「共に歩もう。共に生きよう。」
いつかその方が「生きることが楽しくなった」と、そう笑って話してくれる日が来ることを。私たちは、そんな願いを込めて活動しています。共に支え合い、共に学び合いながら「皆が共に生きていく」社会を目指しています。「個性が活きる共生社会の実現」をビジョンを掲げ日々の支援に取り組んでいます。
仕事の中にある楽しみ
今、ひふみよベース荒田では、クラフトビール製造に関わるワーク作業に取り組んでいます。例えば、「セイヨウカラハナソウ」という植物の水耕栽培にもチャレンジをはじめました。この植物、耳慣れない名前かもしれませんが、より身近な通称は「ホップ」です。ホップはクラフトビールの香りや苦味、そして風味を生み出す素材のひとつです。

セイヨウカラハナソウはホップの一種
ホップは、つる性植物で数メートルにも伸び、アサ科に属しています。花はビールの原料だけでなく、ハーブティーやドライフラワーにも使われるほど多用途で、葉はサラダにも利用可能。窓辺にグリーンカーテンとして育てても楽しめる、意外と身近で愛着のわく植物です。そんな植物を扱いながら、メンバーさんたちは日々のワーク作業に取り組んでいます。手で触れ、香りを感じ、一つひとつの工程を重ねていくワーク作業は、ただの「作業」ではありません。

麦芽粕を乾燥させてアップサイクルにもチャレンジ
人と関わることの苦手さを抱えていても、自分のペースで、丁寧に、集中して関わることができる仕事。得意を見つけ、活かし、そこに達成感や誇りを見つけるメンバーさんたちの姿に、私たちスタッフも日々学んでいます。
お茶会から生まれる学びとつながり
最近、メンバーさんの中に茶道の経験がある方がいらっしゃることをきっかけに、ささやかなお茶会を開きました。茶筅とお抹茶だけの簡単なものですが、利休七則を思い出しながら、人としての在り方や所作の意味を学び直す、そんなひとときになっています。

利休七則を思い出す
「一座建立(いちざこんりゅう)」――その場にいる人と心を合わせて過ごすこと。
この精神は、就労継続支援B型の場でも大切な在り方だと感じます。
あなたの新しい一歩を、ここから
ひふみよベース荒田では、就労継続支援B型事業所として、利用を希望される方を常時募集しています。クラフトビール製造に関わる作業のほか、日常の中で楽しみや居場所を見つけられるような時間を、スタッフとメンバーさんとで一緒に育んでいます。
「いまは何もできないかもしれない」と思っている方も大丈夫です。
ここには、あなたの歩みを見守り、支え合える仲間がいます。
ここには、あなたの夢中になれる仕事を楽しみに変える場所があります。
まずは一歩。見学や体験だけでも構いません。まずは、お気軽にご相談ください。ご連絡をお待ちしております!